★最近、流行の「ポーランドズロチ円買い、ユーロ円売りの両建てスワップサヤ取り手法」について本当にリスクなく使えるのか?検証してみました。
ども。投資軍師のかんべえです。
最近は色々な投資手法が開発されている感じがします。
ただ、リスクとリターンはトレードオフです。リターンがあればそれだけリスクはあるということは理解してほしいです。
今回は「ポーランドズロチ円買い、ユーロ円売り両建てスワップサヤ取り戦法」について検証してみたいと思います。
目次はこちら
ズロチユーロスワップサヤ取りとは?どんな手法?
「ポーランドズロチ円買い、ユーロ円売り両建てスワップサヤ取り戦法」について、まず解説します。
この手法はズロチ円とユーロ円がほぼ相関関係にあること狙った手法で、同口座内でズロチ円を買い、ユーロ円を売ることで、価格変動のリスクを回避して、スワップ金利だけを得る手法です。
ポーランドの政策金利が1.5%であることから、ズロチ円買いにはスワップ金利が入り、マイナス金利政策のユーロを売ることで、ユーロ円売りからもスワップが少し入るので、価格変動リスクをヘッジしてスワップ金利だけを得れるというわけです。
では、より詳細に見てみましょう。
まず、ズロチ円(PLN/JPY)のチャートを見てみましょう。
(引用元:SBI証券ズロチ円チャート)
続いてユーロ円チャートです。
(引用元:SBI証券ユーロ円チャート)
かなりチャートが似ていますよね。
つまり両通貨はほぼ相関関係があるため、ズロチ円を買って、ユーロ円を売ることで、価格変動リスクをほぼゼロにしてスワップのサヤ取りができるというわけです。
1ユーロが120円前後、1ズロチが30円前後ですので約4倍の差がありますので、
ズロチ円買い:ユーロ円売り 4:1
の割合でポジションを持てば、同額を両建てすることができるというわけです。
両通貨ペアの相関関係が続くと過程すると、為替変動のリスクがほとんどなくなりますので、レバレッジをそれなりにかけても問題なく、スワップ金利を得ることができます。
ズロチ円のスワップ金利はFXプライムbyGMOで1日約15円
つまり、10,000ズロチを保有すると1日15円のスワップ金利が得られますので
1ズロチ=30円と仮定すると
(15円×365日)÷(10,000ズロチ×30円)=1.825%
年間利回り2%近く得ることができるわけです。
これにユーロ円売りの資金も必要ですので、レバレッジ1倍では利回りは1%となります。
両建てで為替変動リスクがないとするとレバレッジを5倍にすると約5%得られますし、10倍にすれば利回り10%となるわけです。
10倍は怖いとしても、5倍で利回り5%であれば、リスクに対して、かなり美味しい投資なのではないかと思ってしまいます。
FXプライムbyGMOでもこの手法をピックアップしています。
参考:ポーランドズロチ/円 <特別コンテンツ>FXプライムbyGMO
ズロチユーロ両建てスワップサヤ取りのリスクを検証 デメリット
では、このズロチ円買い、ユーロ円売りの両建て手法は本当にお勧めできる投資なのか?見てみましょう。
①そもそもサヤ取りではない ユーロズロチショートのスワップ投資
まず、この両建ての手法はサヤ取りではないということは理解しておきたいところです。(参考:サヤ取りとは?)
ズロチ円(PLN/JPY)を買い、ユーロ円(EUR/JPY)を売る
ということはつまり
円を売って、ズロチを買う
ユーロを売って、円を買う
つまり・・・・
ユーロを売って、ズロチを買う
ということです。
すなわち、ユーロズロチ(EUR/PLN)の売り(ショート)となるわけです。
そして、さらにいいかえると、ユーロズロチ(EUR/PLN)売りのスワップ投資をしていることになるわけです。
では、ユーロズロチ(EUR/PLN)チャートを見てみましょう。
(参照元:tradingview.com)
過去5年チャートですが、4.5~4.0あたりを推移しています。
つまり、完全に等価ではありません。
ただ、幅が10%とすると、まあレバレッジ5倍であれば安全かなとも思えます。安定しているのでリスクを低く投資できるというのは事実のようです。
ただ、10年チャートなると話が変わってきます。
(参照元:tradingview.com)
リーマンショック時ですが、3.2まで下がっています。また、それ以前もかなり乱高下しており、相関性が薄い時期もあったということです。
仮に2010年以前のように20%以上の上昇があった場合、レバレッジ5倍ですと強制ロスカット退場となってしまいます。
ここ数年、特に2019年が安定しているとはいえ、このくらいの乱高下は起きる可能性があるというのは頭に入れておいた方が良さそうです。
参考ブログ:【危険】ポーランドズロチ・ユーロサヤ取りのデメリットを丁寧に解説します!
②そもそもポーランド通貨に投資したいと思うのか?
上述した通り、ズロチユーロ両建て手法はズロチを買って、ユーロを売る投資です。
つまり、ポーランド通貨であるズロチの将来性に期待して投資をしていることにもなります。
果たして、ポーランド通貨に投資したいと思うでしょうか。
正直、ポーランドなんて馴染みが全くありません。
格付けは「A-」(格付け情報センター)のようですが、今後どうなるか、情報もほとんどありませんし、自信をもって買おうという気にはなれないわけです。
まさにバフェットの言う「よくわからないものに投資するな」という言葉がよぎります。
よくわからない、ポーランド通貨より、まだユーロを買っておいた方がいいのではとさえ、思ってしまいます。
もちろん、しっかりと調査して、今後の将来性に期待して投資をしているのならいいですが、投資初心者の方が「なんとなく安全にサヤ取りがてきるみたいだから」という考えで投資をしているなら要注意です。
③ズロチ円買いスワップ金利も変動する
これはそれほど大きなリスクではないですが、ズロチ円もスワップ金利は変動していきます。
特に実需のないマイナー通貨ですから、各社によってスワップ金利の違いは大きく出るでしょうし、暴落時も変動すると思われます。
結構、キャンペーン、広告宣伝のために一時的にスワップ金利の金額を上げるFX業者も多いですので、注意が必要です。
ポーランドズロチ円(PLN/JPY)のFX業者を見てみますと
FX会社名 | スワップ | スプレッド | 最小取引通貨単位 |
FXプライムbyGMO | 15円 | 5.9銭 | 1,000 |
GMOクリック証券 (くりっく365) | 12円 | 6.0銭 | 10,000 |
サクソバンク証券 | 8円 | 4.0銭 | 50,000 |
ヒロセ通商 | 0円 | 5.5銭 | 1,000 |
取扱業者も少ないのですが、ヒロセ通商のようにスワップ金利が0円としているところもあり、今後も変動していく可能性はありますね。
もちろん、変動してスワップの旨味がなくなったら決済すればいいわけですが、その時に、ズロチの価格が下がる。
つまりズロチ円だけが暴落している可能性もあるので注意が必要です。
ただ、くりっく365も採用している通貨ペアですので、トルコリラ以上の変動はないと思いますが・・・
④流動性のない通貨ペアはスプレッドの大幅拡大が最大のリスク
まだまだFX市場での歴史も浅く、流動性の低いズロチ円。
流動性の低い通貨は大変動時にスプレッドが大幅に拡大するリスクがあります。
大変動時にはトルコリラ円も1円以上スプレッドが広がる業者が出てくるわけですから、さらに流動性のないズロチ円となると、スプレッド拡大のリスクがありますね。
ですので、単純にチャートを見て、レバレッジを決めるのではなく、もう少し余裕をもって資金管理をすべきかと思います。
同口座内の両建てとはいえ、大変動時にズロチ円のスプレッドが大きく広がり、ロスカット、なんてことも可能性としてはありますので、レバレッジのかけすぎはおすすめできません。
⑤FXプライムは1000通貨単位取引だと手数料がかかる
ズロチ円買いはスワップの高い「FXプライムbyGMO」で取引をすることかと思います。
1,000通貨単位取引ですので
ズロチ円買い:ユーロ円売り 4:1
の比率で両建てしますので
最小規模で取引をするなら
4,000ズロチ円買い:1,000ユーロ円売り
となるわけです。
1ズロチ30円とすると4,000ズロチは約12万円
個人投資家でも投資しやすい金額です。
ですが、FXプライムbyGMOは1,000通貨単位ですと売買手数料が30円かかってきます。
スワップ投資なので、売買回数は少なく、それほど気にならないかもしれませんが、たださえスプレッドも広いので、できれば手数料も無料にしたいところです。
売買手数料を完全に無料にするにはユーロ円売りも10,000ユーロとしなければならないので・・・
40,000ズロチ円買い:10,000ユーロ円売り
というポジションをとることとなり
40,000ズロチとなると約120万円
果たして、実質、ポーランド通貨へのスワップ投資にこれだけの資金を充てたいか?という論点になってしまいます。
ユーロズロチの相関関係が続くと仮定して、レバレッジを5倍~10倍とかにして運用することになると思いますが、これは上述の通り、ちょっとリスクが高く、特に初心者の方にはおすすめできないですね。
⑥ユーロ円と相関関係が崩れる可能性も十分にある なぜ今、相関関係にあるのかちゃんと説明できるか?
また、ユーロ円とズロチ円がなぜ相関関係にあるか?ちゃんと説明ができますでしょうか。
調べてもなかなか出てきません。両国が深い貿易関係にあるから等も書かれていますが、それって今後も相関関係が続く保証にはなりませんよね。
ユーロはEU離脱等何かと、事件がありますし、ギリシャショックや、テロ事件もあり、何かと変動がつきものです。
また、ポーランドとの貿易関係が薄れてしまったら、どうなるのか?など、不確定要素は多いと考えた方がいいでしょう。
そして、歴史が示す通り(参照元:tradingview.com)
相関関係が崩れるときは大きく崩れますので、それは理解していおきましょう。
「ズロチサヤ取りは単にレンジを組みやすいユーロズロチで、プラススワップが入るショートをしているだけだが、そもそもユーロズロチがレンジなのは最近の話で、動く時はかなり暴れるのでリスクはそれなりにある」
参考:ポーランドズロチ円とユーロ円の両建てサヤ取りは本当に儲かるのか?リスクを分析
では、なぜこんなにも流行っているのか?
「ポーランドズロチ円買い、ユーロ円売りの両建てスワップサヤ取り手法」ですが、実態は「ユーロズロチショートのスワップ投資」です。
かなりマイナー通貨への投資で、リスクもそれなりにあるにもかからず、最近は多くの人が「ズロチユーロ」について言及しており、ネットやTwitterを見ると、実践している人も多いようです。
やはり流行している理由としては
「両建てサヤ取り」「リスクなし」
このキーワードでなのでしょうね。
何か裏技のような感じで、多くのブロガー、FX会社も宣伝しており、浸透してきているようです。リスクなく簡単に稼げるようなイメージが先行している気がします。
ただし、実態はそれなりにはリスクはあります。
「トルコリラスワップサヤ取りはおすすめできない理由」でも書きましたが、ちょっと誇大に利回りや安全性をアピールしすぎているブログ等が多いように思えます。
リスクなく簡単に稼げるものはないと、改めてお伝えしたいです。
ただ、現状ユーロズロチが安定しているのは事実
ただし、このユーロズロチショートのスワップ投資は現状安定しているのも事実です。
上記チャートを見ても過去5年大きな動きはないわけですから、その点を評価して投資するのはありだと思います。
ただ、流動性のないマイナー通貨、レバレッジをかけないと投資づらい点等、考慮の上、投資判断してほしいです。
個人的には初心者の人にはおすすめできません。
もし、FX初心者の方が簡単に安全に稼げると思って始められているのであれば、それは違いますので、ご注意ください。
ちなみに私はやるつもりはないです。
レバレッジもかけなければなりませんし、何よりよくわらない「ポーランド通貨」に投資をするのは怖いです。
もちろん、リスクをかけなければリターンは得られませんが、今回は不要なリスクかなと思っています。
やはりこの手法を厚く採用しているのは投資ブロガーであり、純粋な専業トレーダーはズロチユーロの両建てといったよくわからない投資には手を出していません。
まとめ
以上、「ズロチユーロ両建ては本当にリスクなくスワップサヤ取りができるのか?」ということで私の考えを書かせていただきました。
まとめますと
- そもそもサヤ取りではなくユーロズロチショートのスワップ投資である
- ポーランド通貨に期待して投資をしていることになる
- スワップ金利の変動リスクもある
- 流動性のないマイナー通貨はスプレッドが大幅に変動する可能性が高いので、チャートだけ見てレバレッジ管理をしないように
- FX会社の仕様上、投資金額が大きくなる
- 相関関係がこれからも続くという根拠は薄い
- 現状は安定しているのでその点から投資をするのであれば問題ない
まだFX市場としても歴史の浅い、ズロチ円ですので、今後どうなるか、注目しておきたいです。
もちろん、安定した投資として定着することもありますので、上記のリスクのを理解したうえで投資をするのもありでしょう。
ただ、「両建てサヤ取り」のキーワードでリスクなく簡単に稼げるものではありませんので、その点はご理解の上、ご判断ください。
以上、少しでもお役に立てれば幸いです。投資は自己責任でお願いいたします。