★スワップ投資としてかつて人気が高かったオーストラリアドル円FX(AUD/JPY)のスワップ利回りが大きく下がっており、魅力を失いつつあります。
ども。投資軍師のかんべえです。
今回はオーストラリアドル(豪ドル)円FXスワップ投資についてです。
かつては、安定した投資でかつ、利回り3%前後あったということで、ニュージーランドドルとともに人気だったオセアニア通貨なのですが・・・
昨今は利下げの影響、為替価格の下落の影響もあり、スワップ投資としての人気がなくなりつつあります。
今回はそんな豪ドル円FXについてを検証し、そもそも、スワップ投資とはどのように向き合っていくべきなのか?について書きたいと思います。
目次はこちら
豪ドル円チャートと政策金利の推移
豪ドルは現在どのような状況なのか?
- 豪ドル円チャートを分析
- 政策金利の推移を見て分析
豪ドル円チャート分析
まずは、豪ドル円(AUD/JPY)のチャートを見てみましょう。
(出典:SBI証券豪ドル円チャート)
現在の価格は75円前後です。数年前まで100円台だったので、これはかなり下げていることになります。
2011年とほぼ同じ価格まで下げています。2011年あたりはアジア通貨危機等で円高になっていた時期ですね・・・。
ドル円と比較してみると・・・。(出典:SBI証券ドル円チャート)
ドル円と比較しますと、ドル円は現在は110円前後、豪ドルのように2011年の80円台にはなっていません。
豪ドル円は価格も大きく下落していることになります。
オーストラリアの政策金利
続いて政策金利です。
(出典:外為どっとコムオーストラリア政策金利)
数年前までは3~4%あった金利も今では0.75%まで下げています。
参考:豪中銀0.25ポイント利下げ、過去最低0.75%-必要なら追加も
失業率の引き下げを押さえ、インフレ率目標値に達成させる狙いで、どんどん利下げを進めているようです。
米国も1.75%まで利下げをしており、世界的にも利下げの傾向が強くなっていることも影響しているようですね。
しかし、0.75%とは・・・ほとんど金利がつかないじょうたいになってしまったのですね・・。
現時点での豪ドル円FXスワップ利回りはどのくらい?
価格も下がり、金利も下がっている豪ドルですが、では、豪ドルには投資するべきではないのか?
現時点でのスワップ利回りを検証してみましょう。
2019年12月時点での豪ドル円FX会社の比較表です。
FX会社名 | スワップ | スプレッド | 最小取引通貨単位 |
ヒロセ通商 | 2円 | 0.6銭 | 1,000 |
GMOクリック証券 (くりっく365) | 2円 | 0.7~1銭(変動) | 10,000 |
SBI FXトレード | 1円 | 0.69銭* | 1 |
セントラル短資FX | 2円 | 1.13銭(変動) | 1,000 |
FXプライム byGMO | 2円 | 0.7銭 (原則固定) | 10,000 |
インヴァスト証券 | 5円 | 0.9銭 | 1,000 |
外為オンライン | 2円 | 3.0銭 | 10,000 |
外為ジャパン | 2円 | 0.7銭 | 1,000 |
DMM FX | 2円 | 0.7銭 | 10,000 |
みんなのFX | 2円 | 0.6銭 | 1,000 |
*ただし、取引数量によって変化
以前は50円以上あったと記憶していますが・・・現在は20円にも満たない数字です。
では、利回りはどのくらいあるのでしょうか。
わかりやすく、豪ドル円の価格を75円、スワップ金利を20円として固定して考えると
豪ドル円年間スワップ金利総額
約20円×365日=7,400円
年間で7,400円のスワップ金利をもらえることになります。
1豪ドルを75円と仮定すると
豪ドル円FXの利回り
7,400円÷(75円×10,000通貨)=0.98%
となります。
あくまで現時点の為替価格とスワップ金利が維持されたと仮定した場合の利回りですが、1%を割るほど下がってきています。
豪ドル円のチャートを見ますと、100円台から70円台までの30%もの暴落もありますし、さすがに、このリスクで、このスワップ金利では豪ドルに投資するメリットはないのではないかと思われます。
※後述しますが、私個人的には豪ドル投資はありだと思っています。
スワップ投資のワナ 豪ドルから学ぶべきこと
豪ドルは一時期、多くのブロガーの間では「安定通貨でかつ、スワップ利回り2%超」などという感じでさかんに宣伝されていました。
それを見て、数年前から豪ドルに投資を始めた人は、失敗した、騙された、なんて思われている方もいるかもしれません。
ですが、これは豪ドルに限った話でありません。
そもそも、スワップ金利の利回りというのは「絵にかいた餅」であることがほとんどです。
豪ドル以外でも、南アフリカランド、メキシコペソ、トルコリラ、そして米ドルでも、あまり現時点での利回りを絶対視しないほうがいいです。
スワップ投資のワナ①:金利は変動する
まず、政策金利は変動しますよね。
オーストラリアも5%以上あったのに、今では、0.75%です。
ですが、米ドルも利下げしていますし、トルコリラも以前の20%超の金利からは大きく下がっています。
南アフリカランドやメキシコペソも安定して金利の高さが維持できる保証は全くありません。
投資のタイミングを間違えると、豪ドルのように「リスクは高いのに金利は低い状態」になってしまいます。
多くのサイトでは現時点での金利、現時点での価格が維持されるかのような利回りで宣伝していますので、この点は注意が必要です。
スワップ投資のワナ②:価格が暴落する
また、価格も同じく暴落します。
金利の高い通貨であればあるほど、暴落、下落トレンドが続く可能性は高いです。
南アフリカランド、メキシコペソ、トルコリラ、いずれも長期チャートを見てもらえればわかるかと思いますが、長期的にはどんどん下落しているわけです。
特に金利の高いトルコリラに至っては、含み損がスワップ金利を上回り、4年投資を続けても利回りがマイナスなんてことも起こり得ます。
参考:トルコリラをFXで3年半投資し続けて実感したリスクと本当の利回り
つまり、金利が高くても、価格が下がってしまったら意味がないわけです。
「いつか戻るから大丈夫」というのは特に長期チャートを見てもらえれば、高金利通貨には通用しないのはわかるはずです。
トルコリラが数年前の30円台、40円台に戻る可能性があるのか?
メキシコペソが8円、ランド円が10円に戻る可能性があるのか?
これは、かなり状況が好転しないと厳しいですよね。
むしろ、日本とのインフレ率の差も加味すると、さらに価格を下げる可能性の方が高いわけです。
ですので、豪ドルは確かに結果としてイマイチな投資対象となりましたが、これはどの通貨ペアでも陥る可能性はあるわけですね。
米ドル円も今では安定していますが、いつ状況がかわるかわかりませんし、金利が2.5%のころから始めた人にとっては、今は、同じリスクなのに金利が下がってしまっているわけですからね。
スワップ投資はどう向き合えばいいか?
では、スワップ投資はしない方がいいのか?
あくまで個人的な考えですが
「毎月定額積立投資や無理なナンピンはやめた方がいい」
と思います。
そして
「大きく下がったときだけ買えばいい」
と考えています。
豪ドルの場合ですと、100円台から毎月定額積立投資をしていた場合、100円から70円までの30%の暴落を考えると、トータルでかなりのマイナスになってしまいます。
同様に、トルコリラは40円台、メキシコペソは8円台、ランドは10円台の時から、仮に毎月定額投資をしてしまうと、いくら金利が高くても含み損の方が上回ってしまいます。
表面上の金利の高さを見て投資をするのではなく、しっかりと、為替差益でもトータルでもプラスにならなければ意味がないということを意識すべきなんです。
そうなると、非常に重要なのは「買うタイミング」です。
「新興国通貨FX(リラ、ペソ、ランド)で堅実に稼ぐための戦略を検証」でも書きましたが、下がったときにいかに買えるか?が大事だと思っています。
例えば、南アフリカランド円も2016年の6円台に暴落したときに買っていれば、2018年には9円台に回復しましたし、現在は7円後半ですので、スワップ金利+為替差益で利回り10%近く得られたわけです。
メキシコペソも4円台、トルコリラもちょっと厳しいですが15円台で買えていれば良いわけですよね。
まあ、言うは易し、ですが、長期チャートを見てもわかる通り、下がったときに買えるかで勝率が変わってくるわけです。
要は人と違うことをしなければならないということですよね。
豪ドル円は投資すべきか?買うタイミングは?
では、豪ドル円FXスワップ投資はするべきなのか?
個人的にはありだと思います。
では、長期チャートを見てみましょう。
現在の価格は75円なので、確かに下がっているのですが、長期的に見ても値幅はすごいですが、下がっても上がってくれている通貨です。
一つの目安としてリーマンショック以前の価格に戻ったことがあるか?という点では、2014年にしっかりと回復してくれているので、優秀な通貨であると判断できます。
そして、現在の価格の75円ですが、歴史的に見ても割安な方ですよね。
ですので、確かにスワップ金利も低くて、魅力のない通貨に見えるのですが、米ドルのように下がったらまた上がる可能性が高い通貨であると判断できます。
金利もまた世界的な経済リスクが高まれば上げていくでしょうから、伸びしろはある通貨だと思えますね。
まだ下落の余地はありそうなので、私は60円台から少しずつ買っていくと思っています。50円台では大きく買えればいいなと考えていますね。
一方、金利は高いですが、トルコリラはそこまでおすすめできません。
こちらも長期チャートを見てみましょう。
(出典:トルコリラ円チャートInvesting.com)
もうずっと下落しています。
リーマンショック時の50円台がむしろ今よりずっと高いですからね・・・。
つまり、下がったからと言って買ってしまった場合、一生戻らないリスクもあるというわけです。
おかげさまで私は塩漬けとなってしまっていますが・・・。
その他、最近は安定していると人気のメキシコペソも
(出典:メキシコペソ円チャートInvesting.com)
ここ数年は5円台で安定はしているのですが、やはり以前は8円台になったこと、そのずっとまえは10円以上あったことは忘れてはいけません。
ドル円が110円に戻ってきてもメキシコペソ円は5円台のままです。
もう一度、豪ドル円チャートを見てみましょう。
豪ドル円はリーマンショック前の価格、過去の大暴落前の価格に一度は戻ってきています。
米ドル円ほどではありませんが、他の新興国通貨よりも安定していると考えられます。
米ドル円ほどではありませんが、豪ドル円も「下がったらいつか上がる可能性」は高いというわけです。
トルコリラやメキシコペソとはやはり違います。
ですので、あくまで個人的な判断ですが、豪ドルも大きく下がったときにこそ買いたいと思っています。
現在も割安な方ですが、より安全に60円台、50円台の価格の時に大きく買う方向で考えています。
豪ドルFX投資戦略
- 値幅は大きいが歴史的に見ても50円台~100円台のレンジで安定している通貨と考える
- スワップ狙いの積立投資はしない
- 60円台、50円台に暴落してきたら大きく買う
- 80円、90円に回復したときに決済し、中長期で大きく狙う
まとめ スワップ狙いだけの投資は危険
以上、「豪ドルFXがスワップ投資としての魅力を失いつつあることから学ぶべきこと」ということで書いてきました。
まとめますと・・・
- 豪ドル円FXスワップ投資は価格も暴落(100円⇒70円)、金利も1%以下に下がりスワップ投資としての魅力が失われている
- しかしこれは豪ドルに限ったことではなくすべての通貨において「価格の暴落」「金利の下落」はあり得ること
- 現時点での価格と金利がずっと続くと想定された利回りに何の意味もないことを理解する
- その上で、スワップ投資は「買うタイミング」が非常に重要
- 豪ドルも歴史的に見ると70円台は割安なので、70円割ってきたあたりから大きく買う戦略を予定
スワップ投資を長く続けていますと、ただ、単純に定額積立するのは金利の高い通貨であればあるほどリスクが高いことがわかってきました。
結局、いくら金利が高くても含み損が上回ってしまっては意味がありません。
どうしても「年利〇〇%」のものに「毎月積立投資」したくなってしまうのですが、その「年利〇〇%」というのは、現在の金利でかつ、現在の価格が未来永劫続くというあり得ない仮定の下で算出されたものが多いですので、注意が必要です。
特に今回の豪ドル円はそうでしたよね。
豪ドル円は価格は100円⇒70円、金利は5%⇒0.75%、と、数年前の想定利回りを大きく下回っています。
ですが、これは歴史的に見ても当然起こり得ることなんです。
他のランド、ペソ、リラも同じで、もちろん、米ドルも同じです。
ずっとナンピンし続けていたら確かにいつかは利回りはプラスになるかもしれませんが、5年かけてやっとトントンなんてことも起こり得ます。
ですので、一定の利回り、一定の価格で積立投資をするスワップ投資をするのではなく、しっかりと割安なときに買って為替差益をとって、スワップ金利もそれなりにもらう投資を心がけた方が勝率は高くなるはずです。
豪ドル円も買いのチャンスが来たら大きく狙ってみたいと思います。
以上、少しでもお役に立てれば幸いです。投資はくれぐれも自己責任で、堅実投資を努めていきましょう。