最近、流行のトラリピ等の自動売買の「リスク」「手数料(コスト)」「デメリット」について
そして、自動売買は堅実投資には不要であると判断している理由を書きました。
ども。投資軍師のかんべえです。
最近、本当に自動売買FXが流行っていますよね。
私が投資を始めた2014年当初からトラリピ等のツールはありましたが、今ほど人気はなかったと思います。
今回はこの自動売買について持論を書きたいと思います。
結論としては「堅実投資には不要」と判断していますが、その理由を書きたいと思います。
目次はこちら
そもそも自動売買FXとは?
本題の前にそもそも自動売買FXとは何か?
自動売買にはマネースクエア社のトラリピやインバスト証券のループイフダン等、様々な種類がありますが、要は指定の値幅、レンジで、買って売るを何度も繰り返してくれるツールになります。
例えばドル円ですと110円で買って110.2円で売る、と設定すると、そのレンジ幅で往復があれば、何度も繰り返して、売買してくれるので、そのレンジ幅であれば、ほったらかしで稼ぐことができるというわけです。
また、設定すれば、
110円で買う⇒110.3円で売る
109.5円で買う⇒109.8円で売る
109円で買う⇒109.3円で売る
という感じで、レンジから外れた場合の設定もまとめてしておくことが可能のようです。
また、同時に損切も設定してくれるというわけです。
結局は指定の値幅で買って売ってを繰り返すだけでは?
自動売買といっても、結局、指定の値幅で買って売ってを繰り返すだけなんですよね。
てっきりAIがチャートをテクニカル分析して、勝率の高い売買をしてくれるのかと思いましたが、決してそんなことはなく、個人で決めた値幅で売買を繰り返してくれるだけですので、ほぼ裁量トレードになるわけです。
都合よく、想定のレンジで動いてくれれば、売買を繰り返してくれるので、ほったらかしで稼げるように思えるかもしれませんが・・・・
相場はそんな都合よく動いてくれるわけではありませんよね。
トラリピ等の自動売買FXを不要と判断している理由 デメリット
それで、私は正直おすすめできないと判断しています。
特に堅実投資において使う必要はないと思います。
以下、その理由を挙げていきます。
スプレッドが手動の10倍以上とコストがかかりすぎる
自動売買はスプレッドが広いです。
例えば米ドル円(USD/JPY)のスプレッドを見ると
(2019年5月調査)
まずは自動売買
- トラリピ:3銭
- ループイフダン:2銭
- トライオート:4.3銭
次に手動口座
- SBI FXトレード:0.20銭※
- みんなのFX:0.3銭
- GMOクリック証券:0.3銭
※1000通貨以上の取引は0.27銭
約10倍も違うわけです。
さらには業者や条件によっては手数料を別途とるところもあります。
これは、しっかりと理解しておく必要がありますね。
自動売買のメリットとして、手動では面倒な狭い値幅で何度も注文を繰り返してくれるということがあると思いますが、スプレッドが3銭にもなると、狭い値幅では利益がでません。
ですので、スキャルピングトレードには向いていないのです。
ですので、トラリピ等を使う人はそれなりに値幅を設定すると思いますが・・・
例えば50銭~2円の値幅であれば、その値幅を往復することはなかなか毎日起きることはないので、正直、手動で十分の手間のはずですよね。
私自身も「ドル円買いとユーロ円売り戦法」の記事で書いた通り、手動でドル円を売買しています。
50銭~2円の値幅でGTC注文(無期限注文)指値で設定しますが、為替がそこまで動くわけではないので、1~2週間に1回くらい注文を見直す程度の手間です。
手動でも一度注文したら、約定するまでほったらかしでいいわけですから、何も問題ないはずです。
果たして、10倍のコストを支払ってまで自動売買をする必要があるのか?というのが疑問ですね。
スワップ金利が低い
続いてのデメリットがスワップが低いという点です。
トラリピを例にしますと
10,000通貨単位で1日に発生するスワップの金額
- 米ドル:10円
- 豪ドル:6円
- 南アフリカランド:4円
- トルコリラ:34円
となっています。
スワップ金利が高い他の業者を見ると
- SBI FXトレード:米ドル80円
- ヒロセ通商:豪ドル50円
- みんなのFX:南アフリカランド15円
- みんなのFX:トルコリラ100円
他の業者と比較してもかなり低くなっています。
自動売買ということで、あまり長期に保有してスワップを稼ぐということは想定されていないかもしれませんが、暴落があれば、ある程度の期間は塩漬けになることもあるでしょうし、スワップ金利は高い方がいいです。
私は堅実スワップトレード派ですので、ちょっとこのスワップ金利の低さでは自動売買口座は使いたいとは思いませんね。
トラリピ等の自動売買FXのリスク
続いて、トラリピ等の自動売買のリスクです。
これは、トラリピに限ったことではありませんが、レバレッジをかけるとロスカットのリスクがあるということです。
レバレッジを低くすればいいのですが、上述した通り、自動売買系はスプレッドが広いため、狭いレンジで売買を繰り返して利益を得ようと思うと、どうしでもレバレッジを上げることとなります。
そうなると、確かにレンジ相場では稼げるのですが、年初のドル円フラッシュクラッシュ等、暴落があったときに、一気にロスカットされてしまいます。
もともと変動制のスプレッドを採用しているようですので、暴落時はさらにスプレッドも広がり、想定外のロスカットになってしまう可能性もあります。
特にFX初心者の方は注意が必要です。
トラリピ等の解説ブログで想定の利益を得るためにレバレッジを5倍、10倍くらいにしないといけないような解説をしているところもありますので、注意が必要ですね。
それで、レバレッジを低くすればいいのですが、それでしたら、スプレッドを考えると、ある程度値幅を広くとらないと利益が出ません。
値幅を大きくとるなら、そもそも、手動で十分、自動売買する必要がないとなり、不要となるわけです。
メキシコペソなどの新興国通貨でやる意味はさすがにないのでは?
さらにはトラリピでメキシコペソ円の取扱も始まるそうで、Twitterなどで話題となっています。
しかし、そもそもスワップも低い、スプレッドも広い新興国通貨を自動売買で取引するメリットってあるのでしょうか。
ただでさえ、スプレッドが広くなる新興国通貨ですと、自動売買系だとさらにスプレッドは広くなりますし、結果として、また大きな値幅を想定してトレードすることになるのではないでしょうか。
値幅を大きくするのであれば、繰り返しになりますが1日に何度も注文することはなくなりますので、手動で十分となりますよね。
また、新興国通貨は暴落のリスクが非常に高いですので、そもそもレンジ相場を想定したトレードは向いていません。
スワップの高い口座を使い、コツコツ積立投資をするか、暴落時に下がりすぎたところを買って、上がる時に売るといった手法がメインとなると思いますね。
参考:トラリピメキシコペソ円のスワップとスプレッドは魅力なし?検証しました。
では、なぜ最近こんなにも自動売買が流行しているのか?
では、なぜ、数字上コスパが悪いにもかかわらず、これほどまでにも自動売買が流行しているのでしょうか。
それは、「自動売買」という初心者の人でも簡単に稼げるようなネーミングと、多くの投資ブロガーが「ほったらかしで簡単に稼げる」かのような感じでプロモーションしていることが主な理由です。
確かにレンジ相場であれば、自動売買設定をすれば、ほったらかしで売買してくれますので、稼ぐことはできます。
ですが、上述した通り、手動でやるより大分パフォーマンスが落ちます。それは、紹介者もわかっているはずです。
にもかかわらず、これだけ推しているということは、それだけ紹介報酬が高いということです。
「トルコリラをFXで3年半投資し続けてわかったこと」でも書きましたが、業者やブロガーがしきりにおすすめするものは基本は提供側が儲かるものが多いです。
自動売買も上記の通りスプレッドが広く、スワップも低く、何度も取引をしてくれます。また、狭いレンジを想定してレバレッジをかけるのが有効ですので、大変動時ロスカットする可能性が高く、これもまた業者の利益となります。
もちろん、そのリスク、コスパの悪さを理解して、それでも自動売買にメリットを感じてやっているのであれば、良いですが、多くの場合、初心者の人がわけもわからず「ほったらしで簡単に稼げる」と勘違いしてやっているケースが多いように思えます。
私も最近「LINE相談」をしていますが、FX初心者の人でほとんど知識のない人でもトラリピの口座は持っている人が多い印象ですね。
ちょっとこれも誤解を招く、プロモーションによるものではないかと危惧しております。
自動売買がおすすめできる人は?
自動売買がおすすめできない理由を散々書いてきましたが、自動売買自体、便利な仕組みですし、メリットがないわけでもありません。
では、どのようなケースであればおすすめできるのか?ということですが。
それは
- 狭い値幅で設定(5銭~20銭)
- レバレッジをかける
- レンジ相場の期間だけ上手に自動売買を稼働できる
といったケースに限られると思います。
まず、上述した通り、狭い値幅でないのであれば、手動で十分です。保有期間もながくなるわけですから、スワップ金利の高い口座でやるべきです。
ですので、自動売買をするなら狭いレンジになります。
そして、狭いレンジで何度も売買して利益を得るためにはレバレッジをかける必要があります。5倍以上は想定されますね。
そして、レバレッジをかけると大変動時にロスカットしていまいますので、相場が安定しているときだけ、自動売買を稼働できる人に限定されます。
大変動がありそうな時を予測して、自動売買をストップできるなら、使えると思います。
ですが、相場を予測して、タイミングよくできる人は「上級トレーダー」となります。
初心者の方がいきなりやるのは私はおすすめしません。
そして、本当に上級トレーダーであれば、自動売買を自作したりしますので、スプレッド幅の大きいトラリピ等の自動売買を使う必要がなくなって今います。
実際、トレーダー界隈を見ても、ブロガー以外の上級トレーダーの方でスプレッド幅の大きい自動売買を使っている人をみたことがありません。
暴落相場でロスカットが多発するのでは?
上述した通り、2018年からトラリピ、ループイフダン等の人気が高まり、多くの方が利用しているようです。
ただ、中には投資経験も浅く、何となくリスクを理解せずに始めている人が多いようです。利回り10%以上を狙ってレバレッジをかけている人も多いようです。
2020年4月ではコロナショックの影響で相場が乱高下しています。
大きく円高に動く可能性もあり、1ドル100円割れ、90円割れがあるかもしれません。
「そろそろFX自動売買(トラリピやループイフダン)が危ないのではないか?という懸念」の記事でも書きましたが、暴落があった時、ロスカットが多発するのではないかと懸念しています。
もちろん、リスクを理解したうえで投資されているのであれば問題ありませんが、そうでないのであれば、いま一度、自分が何をしているのかをご確認ください。
どのくらいまで円高に耐えることができるのか?レバレッジはいくらかけているのか?資金管理をしっかりされることをおすすめします。
手動で堅実トレードをするのがおすすめ
自動売買は使わず、手動で堅実にトレードするのがおすすめです。
私も色々と投資を失敗してきましたが、やはり、楽して一攫千金を狙うのではなく、堅実に投資をすることがトータルで大きな利益を生んでくれることがわかってきました。
「2014年から投資を続けて結果を出している投資」でも書いていますが、FXであれば、堅実スワップトレードがおすすめです。
メイン通貨は米ドルで堅実に100ドル~300ドルずつで指値を設定しておき、約定したら、ドル高になるまでスワップを貯めながらずっと待ち、ドル高になれば決済して、それを繰り返す単純な手法です。
私が実際に2019年実施したトレードを例にすると
例えば300ドルずつ
109円、108.5円、108円、107.5円、107円、と買い指値注文をしておきます。
注文は「無期限」に設定できますので、買い注文を設定したら円高になるまでいわゆる「ほったらかし」でいいわけです。
そして、年初のドル円フラッシュクラッシュ等で円高になったときはすべて約定されますが、レバレッジを抑えておけば、そのまま長期保有できます。
2019年のチャートですが
このように年初に104円台を付けています。
かねてより指値注文でほったらかしにしていましたので・・・
このような感じで気づけば107円台でドルを買うことができています。
(さすがに想定外だったため104円台まで指値注文を入れてなかったのは反省です)
そして、2019年3月の112円に戻るまで、スワップ金利を貯めながら、売却を待つことができました。
時間はかかりますが、値幅5円くらいとれるわけです。
これの繰り返しで、堅実に稼ぐことを私は実践しています。
仮に自動売買でしたら、年初の暴落ほどではなくても、2円~3円の小暴落でも、損切りやロスカットとなって、トータルでマイナスになってしまうのではないかと思います。
時間はかかりますが、長期堅実トレードがやはりトータルで勝つことができるのかなと思います。
FXスワップ投資法は「米ドルFX積立投資をはじめてみます。」の記事やユーロ円売りも併せて「ドル円買いとユーロ円売り戦法も好評いただいていますので、参考にしてほしいです。
そして、FX口座はスプレッドが狭く、スワップが高い口座で小lotで取引ができるところを使います。
私はSBI FXトレードを使っていますが、米ドルスプレッドも狭く、スワップ80円前後、1ドルからトレードができ、自動売買口座よりスペックが比較にならないほど高いので、おすすめしておきます。
【SBI FXトレードの評判】なぜおすすめできる口座なのか?利用歴6年が語ります。の記事で詳しく書いていますので、併せて参考になさってください。
まとめ
以上、自動売買を使うメリットがないと私は判断している理由を書きました。
まとめますと自動売買は
- スプレッドが広すぎる(手動の約10倍)
- スワップが低すぎる
このデメリットが大きいです。
スプレッドが広いので利益を出すためにはレバレッジをかけたトレードになりますが、それだと変動時のロスカットリスクが高まります。
また、レバレッジをかけないのであれば、売買する値幅を広げてトレードすることとなりますが、それなら手動で十分の手間です。
さらに、スワップ金利が魅力の新興国通貨であれば、なお不要でしょう。スワップは低いですし、スプレッドもさらに広がりますから、さらに想定売買値幅を広げるわけですから、なおのこと自動売買ではなく適した口座を選ぶべきです。
もちろん、上記の点を理解して、それでもメリットを感じてされる分には問題ありませんが、初心者の人が良くわからず、簡単に稼げると勘違いして、手を出しているケースも多いようですので、しっかりと比較検証することをおすすめします。
私個人の意見としては手動堅実トレードがトータルで利益を出せると思いますので、初心者の人にもおすすめかと思います。
以上、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。